2006-12-25

たとうしと、くちわと、コーピー

言葉を覚え始めた子どもたち。
まだよくまわらない口で、一生懸命話そうとする姿は、とてもいじらしいものです。
不思議な言葉の数々は、ああ!とすぐにわかるものから、およよ?と首を傾げるものまで様々。
でも、自分でも、なんだかおかしい?という顔をしながら、一生懸命言おうとする姿には、やはり思わずふきだしてしまいます。

電車が好きなP君。
駅の名前を書いていると、興味津々で寄ってきてくれたのはいいのですが…
「たとーしー、書いて!」
「…たとう紙?」
まさかP君が、着物を包む紙を知っている訳がありません。
「たとーし!たとーし!」
「…たとーし…たとーし」
少しでもなにかヒントを得られないかと、P君の口調を真似て呟いてみながら、私も必死に頭の中で変換してみます。
「たとーし!、たとーし…た…たとーし……」
しーん…
謎の言葉を互いに繰り返し、見つめ合いながら二人の間には、やがて沈黙が訪れました。
謎が謎のまま続いた数ヶ月。
口が大きく動くようになってきたP君が、ある日謎の答えを教えてくれました。
「たとうし、書いて!た、たと…ちゃ…きゃ……かどまし、書いて!」
「ああっ!かどましっ!」
伝わった喜び、理解できた喜び。
喜びはひとしおながら…内心ちょっと
(かすりもしてないやんかっ!)と一人ごちたことは、白状します。

T君は、なかなか流暢に口がまわります。
1、2回しか一緒にやってない手遊び歌も、
「荻原先生、やろーっ!キャベツーっの♪なっかかーら♪あおむっしでったっよ♪ぴっぴっ…♪」
とっても上手に歌えます。
ところがある日、
「なあ、給食、何食べた?」
「えっと、ねぎと…くちわと…」
「くちわっ?」
私に問い返されて、はっ!とした顔で首を傾げるT君。
「ちくわ、やろ」と大笑いする私に、
「…く、くち、わ…くち?…」と困るT君。
「ちー…」
「ちー…」
「…くわ」
「…くちわ」
しーん…
数日後、まねっこの練習で
「ち…くち?…ち?…」
と一瞬ひるんだものの、大きく息を吸い込んで元気よく、
「ちぃ、くぅ、わっ!」
といえたときの表情は、なんとも嬉しそうでした。

おしゃべりしたい度はさすが女の子!と感心すすLちゃん。
足りない言葉は、身振り表情愛嬌で補いつつ、ごにょごにょごにょごにょ、いつもおしゃべり。
ミーテイングの最中は、自分も紙をもってなにか書こうとしたり、頬杖ついてうなずいてみたり…そうそう、ビデオを指しながら解説する私の横で、気付けば一緒に解説しようとしてることもありました。
そんなLちゃんの大人ごっこ。
その日の対象は、机の上に置かれているくろーい飲み物…コーヒーでした。
自分も欲しくて、ちらちらチラチラみていたLちゃん、意を決して訴えました。
「お、おかあしゃん、こーぴー!」
「こーぴー!?」
大人2人のユニゾンと、自分の言った言葉に、びっくり顔でとまるLちゃん。
しーん…
その沈黙を破ったのは、Lちゃんでした。
お母さんとコーヒーと自分の前のコップをみたりさしたりしながら、
「おかぁしゃ…コップ…コーヒー…」
「あぁ、コップに、コーヒー!」
伝わると今度は、びっくりした分おかしくなってきたようで、
「…こーぴー、こーぴー…うふふふふ…」
何回も繰り返しては、笑い転げていました。
こんなところも、やはり女の子です。

大正期の詩人の金子みすずは、結婚を期に筆をおりましたが、家事の傍ら育つ娘の言葉を手帳にかきつけ、読み返していたといいます。
その気持ちが、なんだかとてもよくわかるのです。

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